町田市民ミュージカル2017 公演を見て

2017年8月19日、町田市民ホールにて町田市民ミュージカルの会2017年度公演「長靴を履いちゃった猫」を見ました。

時間は少しさかのぼり、今年の春先のこと。長女が学校から、町田市民ミュージカルの出演者募集のチラシを持って帰ってきました。オーディションは無く、参加希望を出せば誰でも(小学校低学年でも)何かの形で出演させてもらえるとのこと。私だったら目にも留めないような企画を見つけてきて、しかも参加しようと思うなんて、家族が多いといろいろと新しい発見があって面白いものです。

応募から4か月半、週末ごとに練習を重ねとうとう8月19日の講演を迎えました。これだけ練習してきたのに、公演は一日限りです。前日にはゲネプロという通し稽古が行われました。ゲネプロは限りなく本番に近い形で行われますが、本番ではないので関係者なら見られます。妻は子供の付添いをかねてゲネプロを通しで見ましたが「ミュージカルが好きだから、楽しかったよ」と言っていました。

ただ、正直なところ私はこのミュージカルの出来には全く期待していませんでした。言い方はひどいかもしれませんが所詮は素人の舞台ですから、脚本/音楽/演出/役者/衣装…といった複数の要素を高度に組み合わせて出来上がる舞台に、素晴らしい出来を期待すること自体に無理があると思っていたのです。しかもこの中で特に期待薄だと思っていたのが脚本でした。「長靴を履いちゃった猫」という題名のオリジナルストーリーということで、「長靴を履いた猫」のパロディのドタバタ劇ではないかと勝手に想像してしまっていました。

さて公演日。次男と次女が何分耐えられるだろうか…と不安に思いつつ、座席は前列を確保しました。舞台からある程度離れて全体が見えるくらいの席のほうが皆には人気のようでしたが、私はミュージカルを見るには前列、特に出演者の表情が見えるくらい最前列に近いところ、という思いがあって、つい前列を確保してしまいました。後になって考えると、これがナイスチョイスだったと思います。出演者の表情がばっちり見え、劇の世界にどっぷり入り込めました。

ストーリーはおなじみ「長靴を履いた猫」の後日談。ただ、カラバ侯爵とお姫様が幸せに暮らすめでたしめでたし…の後日談ではなくて、大臣連中やカラバ侯爵に取り入った怪しい魔法使いが好き放題に国を牛耳って、多くの国民が悪政に苦しむ王国が舞台です。

懸念していた脚本の出来は…期待を裏切る良い出来なのにビックリしました。観劇後に爽快感を与えるストーリー展開。でも決して先が簡単に読めるような安直なストーリーではなくて、登場人物ごとにきちんと設定された物語が複雑に絡み合って最後の大団円で一つになる厚みを持っており非常に楽しめました。また音楽もストーリーを支えるのに十分なバリエーションがありグッと話に引き込まれました。後日、気になって脚本家と音楽家をグーグルで調べてみましたが音楽担当こそヒットしましたが脚本家は検索できませんでした。本当に趣味だけでやっている人なのでしょうか??

さて、肝心な演技の方ですが、これが良かった!特に主役級を務めた数人の演技はとてもよかった。メイクや衣装のせいもあるでしょうけれど、とても中学/高校/大学生とは思えない立派さです。劇中で一度、明らかに違う音楽が流れてしまった時でも全く動じることなく、そのシーン終了まで堂々と演じきっていました。演技力とか歌唱力とかそういうテクニカルなことは私はよくわかりませんが、とにかく主役級の人の凛として堂々とした演技に何よりパワーを感じました。

もちろんまだまだの面はあるのだろうと思います。時々登場人物のセリフがかぶってしまったり、場面と違う音楽が流れてしまったり、大人の数人の演技が主役級と比べてだいぶ見劣りする点、また観客の側も舞台といまいち一体化できていないところなどです。でも、私は十分楽しめました。カーテンコールでは、音楽に乗って颯爽と出演者が現れて挨拶していく一連の流れの中に、プロのミュージカルに劣らない興奮を覚えました。(ただ、残念ながら観客の側が一体感をどうしても出せなかった…。私も含め。日本人はシャイだから…。)

劇が終わり外に出ると全出演者が舞台衣装のまま観客に見に来てくれたお礼を言っていました。市民ミュージカルならではの光景です。ついさっきまで舞台上で主役を演じていた人たちも衣装のまま出てきています。これが、意外と心躍るものです。テレビで見かけるアイドルを街中で見かけたようなそんな気持ちです。ただ、さすがに写真を一緒に撮ってもらうことはしませんでしたが(^_^;)。もちろん、衣装をきたわが子の姿はきちんと写真に収めました。

後で聞いたところによると、出演者の中にはこの公演が終わるとしばらくミュージカルロス状態になる人もいるそうで、それはよくわかりました。劇を一日2公演やって観客の反応と手ごたえを感じることができたら、これは日常生活では味わえない大きな喜びだろうと思います。こうやって市民ミュージカルはまた来年さらに規模も大きくなって帰ってくるのだろうなと思いました。また来年が楽しみです。


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